無意識の構造(河合隼雄)

世界を広げるヒント第10回は「無意識の構造」河合隼雄著です。

 

 

河合さんは心理学者です。

 

この本では人間の意識に現れない無意識の領域には何があるのか、また、それがどのような意味を持つのかを解説しています。

 

 

なお心理学といっても、非常に内容が分かりやすいのが特長です。

 

 

臨床心理学の立場でカウンセリングをしていることも関係があるのでしょうか。

 

「こころの処方箋」のように現代人の悩みに答えてくれるような著作もあり、学問より、人により近いところにいる方だな、といつも感じます。

 

 

さて内容ですが、

「人間の心の中には、意識の他に無意識という気付けない領域がある」

 

これが最も重要な内容であり、そしてそれだけでも、本当に価値がある本だと私は感じました。

 

 

決して自慢できる話ではないのですが、自分は、これがやりたいとか、もっと自分を成長させたい、とか、自己実現願望の強い人間だと思っています。

 

 

だけど、無意識の領域があるってことは、

「自分が持っている自己実現願望なんて、自分全体から見れば表層の一部にすぎない。目に見えない部分を含めた自己は、より深く、大きいもの」

 

ということになります。

 

 

意識している範囲の「自己実現」なんて、全然たいしたことないってことです。(実際、他の彼の著作で書いてありました)

 

 

うーん、自分の小ささが身にしみます。。

 

 

さて、これだけでも色々と書けそうですが、他の部分にもスコープすると。

 

 

「自分と影」「死と生」「男性と女性」についての記載があります。

 

 

「意識と無意識」のように、対比が非常に多い。

 

この本で貫かれているのは、表面に現れているのは半面、もう半面は隠れているだけで、自分の中に存在する、ということ。

 

 

人生って見方によっては全てどこかでバランスが取れている。逆に、どこかで無理をすると、その無理もどこかに表れる。

 

そういうことのようです。

 

 

でも、厭世的な感じでは全然なくて、

「いろんな自分を認め、バランスよく成長して行きましょう」

 

そんな感じに私には感じられました。

 

 

最後の章では、そんな自分を統合的に表現する「マンダラ」図が描かれていました。

 

 

光も影も、男性的な自分も女性的な自分も全てが自分。

 

 

そんなメッセージを感じられて、心が温かくなります。

 

 

これからはもう少し、自分を大きい目で捉えてみるとよさそうな気がしました。

 

 

と言いつつ、元が小さいと、2倍しても結構小さいままだったりして。。

 

 

今回も読んでいただいて、ありがとうございました。

 

創造性 ★★★

実用性 ★★★★★