世界を広げるヒント、第20回は生物学的文明論(本川達雄著)です。
「ゾウの時間 ネズミの時間」という本をご存知の方は多いのではないでしょうか。
その著者が、生物学者として環境問題など現代の諸問題にどう取り組めばよいかを語っている本です。
生き物は柔らかく、人工物は硬い。生き物は湿っていて、人工物は乾いている。そして生き物は丸く、人工物は四角い。
そして四角く硬い人工物は、だから自然を壊しやすい性質を持っている・・
と、生物学者というか、本川さんならではの表現で、現代がどんな時代かが語られます。
この抽象的な表現が、何と言うか本質を付いていて、はっと気づかされます。
全編を通して、このようなトーンで語られていきますが、中でも私が印象に残った話を二つ
一つは「ナマコ」の話。著者はナマコが大好きです。
ナマコは動きも緩慢で、武器も無さそうだし、なぜ絶滅しないのかが分からないから興味を持ったそうです。
ちなみに、なんと、脳も無いらしいです 汗
で、結論はナマコは攻撃を受けると、ただ体を硬くしたり、また力に応じてドロドロに溶けたりするんだそうです。省エネかつ臨機応変。
そして、食事はというと、、なんと砂!といっても表面のバクテリアや有機物の切れ端らしいですが。
そんなナマコの省エネさ、柔らかさがこれからの時代のヒントになると著者は思っているようです。
また、もう一つは時間の話。エネルギーを使うと時間が早くなる。でも遅ければ遅いでそこに楽しみも見出せると著者は説きます。
たとえば新幹線で事故があって列車がゆっくり進んだとき、いつもの景色が違って見えたのだそうです。
同じ物を見ても、速度によって見え方が違う。そのような「時間をデザインする」という考えは均一の物としか考えていなかった自分には、新しい概念だと感じられました。
そう、時間すら絶対的なものではないということなんですね。
面白いなー、やっぱり人の思い込みは激しいんだなー、と改めて思いました。
以上となります。
明日はせめて、硬い頭をもう少し柔らかくして仕事に臨もうかと思います。
ナマコのように脳まで無くなったら大変困りますけれど。。
それでは、今日も読んでいただいてありがとうございました!
創造性 ★★★
実用性 ★★★★★