世界を広げるヒント、第29回は檸檬(梶井基次郎著)です。
梶井さんは1901年生まれの作家で、結核を患い若干32歳で他界、檸檬は25歳の時に書かれたものです。
作品ですが、何と言うか一見灰色の景色に鮮やかさを見出している感じがあります。そして、その鮮やかさが際立っています。
ブランドのデザインで、モノクロの背景に一つだけカラフルな商品を置いているのを見たことがありますが、それを思い出しました。
たとえば花火について
「安っぽい絵具で赤や紫や黄や青や、様ざまの縞模様を持った花火の束」
たとえば「おはじき」について
「色硝子で鯛や花を打出してあるおはじきが好きになったし・・あのびいどろの味程幽かな涼しい味があるものか(*)」
*なめてみるのが好きだったとのこと
というような書き方をしています。
あとは、これも人毎に感じ方があるとは思いますが、清涼感があるのですよね。
透き通った、悲しくてでも底が明るい感じ。
そして、最後に丸善で重たい画集を積み上げ檸檬を一番上に置く、そして置いたまま外に出て行ってしまうシーンがよいです。
少し笑えて、そしてなぜか、心が少し前向きになる感じがします。
今の世の中を一見灰色だな、と思っている方は多いと思いますが、このような作品は見方を変える、一つのヒントになるのでは
ないでしょうか。
それでは今回も読んでいただいて、ありがとうございました。
明日もきっと素晴らしい世界が待っています!
創造性 ★★★★
実用性 ★★