世界を広げるヒント、第37回は森の生活(H.D.ソロー著)です。
1845年に書かれた本であり、著者が森で暮らした内容を中心に、生活に関する思想が記載されています。
体験談ではありながら、随所に書かれているのは思想です。
たとえば本当に真剣に考えた時に、衣・食・住はそれぞれ、どこまでが必要かということが書かれています。
この部分は以前に紹介した「パパラギ」と少し似ているところがありますね。
「森の生活」は、実際の著者の体験談ということですから、より主張の中身が生き生きとしているのが特徴です。
たとえば、
・「自然」そのものと同じように、一日を思慮深く過ごそう。朝は朝食を摂っても摂らなくてもいい。客が来るのも成り行きに任せる・・
・太陽、風、雨、夏、冬ーこういった「自然」の筆舌につくしがたいけがれのなさと恵み深さが、永遠に大いなる健康と喜びを与えてくれる!
いかがでしょう。森での生活がいかに「逆に」刺激的なものか、体験していない我々にも少し見えてくる気がします。
私が最も印象に残ったのは、次の箇所です。
「もしすべての人間が、当時の私とおなじように簡素な生活を送るようになれば、盗みや強盗はなくなると、私は確信している。こうした事件は、必要以上に物をもっている人間がいる一方、必要な物さえもっていない人間がいる社会でのみ起こるのである。」
必要以上に自分が物を持っていないか、時には見直すことも大事かもしれませんね。
それでは、今回も読んでいただいて、ありがとうございました。
創造性 ★★★
実用性 ★★★★★