スピノザの世界(上野修)

 

世界を広げるヒント、第41回はスピノザの世界(上野修著)です。

 

 

スピノザは17世紀の哲学者です。

 

神が唯一絶対の実態であるとし、あまねく物に神が存在しているとしています。(汎神論)

 

 

この「スピノザの世界」はそのようなスピノザの考えをできる限り分かりやすく説明しています。

(と言っても元が元だけに難解ですが)

 

 

スピノザの考えで特長的な点は2つ、1つは内容とは関係がありませんが、全て定義と公理から定例を見出す、つまり公式を証明する形を取っていること。

 

 

この方法は、論理的、つまり誰でも理解をすることができるように工夫されているということです。

 

 

(たとえば彼は最初に「神」を定義し、それが存在するこの世界はどうなっているか・・という風に問題を解いていきます)

 

 

もう1点、本の中身についてですが、とても前向きで明るい理論ということ。

 

 

哲学というと難解という印象を持たれる方が多いと思いますが、スピノザの説はひたすら明るい感じがします。

 

 

冷静に、なぜ全ての物が神と一致するのかを証明しているのですが、冷たい感じは微塵もしません。

 

 

(ちなみにこの神は万能の神ではなく、全てに「在る」意思のない存在というイメージ) 

 

 

証明の先は、だから自分も社会も神も全てを許すことができる、全てを愛することができるという結論なのです。

 

 

誰にも理解できるように理論付けられた証明とそこから導きだされる明確な結論。

そしてそれは、「全て問題はない」というメッセージ。

 

 

それは、全ての人に向けた、人間讃歌と言うのは言い過ぎでしょうか。

 

 

それでは、今回も読んでいただいて、ありがとうございました!

 

創造性 ★★★★★

実用性 ★★★★