世界を広げるヒント、第45回は17歳のための世界と日本の見方(松岡正剛著)です。
松岡さんは日本の文化研究をしている方です。
私が知ったのは東京駅の丸善でユニークな本棚空間を作っていたことから。
縦に並べるだけでなく、横に積み重ねたり様々な空間配置をするその世界がとても新しく感じられました。
さてこの本ですが、日本と世界の歴史を比較しながら、この世界がどのように成り立ってきたかを表している本です。
人間がどのような脳を持っているかから始まり、神話の分析、各地で生まれてくる物語についての分析などが行われます。
圧巻は宗教についてであり、世界の宗教、日本の宗教がどのように生まれ、時代を経て変遷してきたかが非常に分かりやすく書かれています。
ゾロアスター教、ユダヤ教から浄土宗、禅宗などまで。それらの生まれた背景が一つ一つ描かれて行きます。
ジャック・アタリの21世紀の歴史も歴史の流れを知ることができる、刺激的な内容の本でしたが、この本はより濃密であり知識欲が満たされて行くのを感じられます。
どの箇所も新鮮でしたが、特に印象に残ったのが「引き算の文化」について。
「枯山水」寺院における、岩や石を配置することで山や水を表す表現を指します。
水を感じるために水を無くすという考え方、美しく、発想が面白いですよね。
そのような考え方が日本で生まれたということは素晴らしいと思えました。
それでは、今回も読んでいただいて、ありがとうございました!
創造性 ★★★★
実用性 ★★★★