ユートピアだより(ウィリアム・モリス)

本日紹介するのは19世紀のデザイナー、ウィリアム・モリスの「ユートピアだより」です。

 

モリスと言えば自然をモチーフにしたデザイン柄が有名ですね。しかし、デザインだけではなく、政治活動や文筆活動も精力的に行っていました。ここではそのうちの文筆活動をご紹介しようと思います。

 

話は小説仕立てになっていて、19世紀の人間が22世紀にタイムスリップ、そこがウィリアム・モリスの考えるユートピアになっています。その世界を通じて、モリスが持つ「幸せの価値観」が伝えられます。

 

少しだけ世界をご紹介すると。

 

・美しいものに囲まれた世界。機械よりも芸術、ボート、草刈りなどに楽しさを感じている。

 

・生活は派手ではないが、毎晩演奏が駅前で行われるような楽しさに溢れている。

 

・自発的に生産がなされていて、お金のやりとりなどはない。

 

・ストレスがなく美しいものに囲まれているため人は20年くらいも若く見える。

 

 

どうしてこうなった?については闘争の結果が説明されていますが、私は経過よりもいくつか注目すべき価値観をご紹介したいと思います。

 

・「すべての仕事がいまでは楽しめるものになっている」仕事は楽しいから行なっている。

 

・仕事自体に繰り返し行いたくなる要素があったり、創造するケースが多くそれ自体がご褒美。

 

・美しさを愛でる。装飾など芸術を楽しんでいる。「良いところですよ、建築が見事なため」と言った褒め言葉。

 

 

何が本当は理想なのか、現実で考えることはなかなかありませんが、この本を読むと「こういう価値観もありだな」と思えるものがきっと発見できるでしょう。デザイナーでもあるモリスの考えた美しさ、芸術をまとったユートピアに足を踏み入れてはいかがでしょうか。