世界を広げるヒント第二弾は、エーリッヒ・フロムの「愛するということ」です。
彼は1900年ドイツ生まれの哲学者です。
精神分析を主に研究。
真に人間的な生活とは何か、また、それを可能にする社会的条件とは何かをずっと追求した人らしいです。
学者ですが、理論だけに閉じこもらないで、社会にとって有益かを常に考えていたという姿勢に惹かれます!
それで、この「愛するということ」ですが、「愛することは習得可能な技術である」という前提が根底にあります。
その考え方、技術が本編を通じてずっと解説されていきます。
「愛」
口にするとちょっと恥ずかしいですが(笑)、がんばって解説を続けて行くと・・
「愛」って、何だか一人一人に委ねられていて、他の人には分かるものではなくて。
さらに言うと移りゆくもので、実態なんか捉えようがない。そんなイメージが多くの人にあると思います。
それが、論理的な考察のもと、一つ一つ解きほぐされていきます。
「愛することは技術」
!!
私はその一言だけで一読の価値があると思いました。
技術、つまり自分のような凡人でも身につけられる可能性があるのかと思えたからです。
「がんばればできるかも」
・・勇気が出ます!
なお、本の構成ですが 人間は他者との合一を求めている
→それにより悦楽、性的興奮、集団との同調を求める
→それでは満たされない
→手段は愛→愛は配慮、責任、尊敬、知からなる(&その説明)
→愛には種類がある→それは親子愛、兄弟愛・・
というように論理的な流れがあり、かつ平易な文章で書かれているので難しい内容の割に、読みやすいです。
このあたりも個人的に、フロムさん、いいです!
ふう。
少しでもよいから、人に愛を与えられる人になりたいですね。
(愛は能動的なもの、また与えられるのではなく、与えるものということです。)
それでは今日はこんなところで。
「愛するということ」の紹介でした!最後までお読みいただき、ありがとうございました。
創造性 ★★★
実用性 ★★★★★
世界を広げるヒント、第8回は「悪魔の辞典」ビアス著です。
私は高校生でこの本を読んだのですが、漫画やゲームのようなジャンル以外で「面白い」ものがあるということを、初めて実感したように思います。
さてタイトルどおり、この本は辞典なのですが、普通の辞典とはちょっと趣が違います。
例を挙げた方が早いので、挙げますね。
・博識・・中身が空っぽの頭蓋骨の中へ振いおとした書物の埃。
・大衆・・法律制定の諸問題で無視して差支えない要素。
こんなのもあります。
・感謝の念・・すでに受けた恩恵とこれから期待する恩恵との中間に位する感情
お分かりになったかと思いますが、普通の辞書とは違って、物事を風刺した辞書なんです。
ブラックユーモアに近い、ユーモアですね。
この本が書かれたのは1870年代、アメリカ。
政界が腐敗堕落した時期だったと、「新編 悪魔の辞典」のあとがきにあります。
その中でビアスはジャーナリストとして文筆で政界、宗教界を糾弾していった。
その一部が悪魔の辞典です。
そのようにアメリカ社会を見つめていたビアスは、150年近く後の日本の読者なんて想像もしていなかったでしょうが。。
この本のどこに惹かれるのかというと、やはり、色んな側面から物事の本質を見ているところかなと思います。
これは予想ですが、この本を読んだ感想として人が抱くのは、
①バカバカしい、と無視する
②こんな皮肉っぽい見方をするなんて、と身構える
③面白がって笑う
の何れかになるのではないでしょうか。
で、たいていの人は①か②のように真面目に反応しちゃうのでしょうが、実は本当に人生を楽しめるのは、③のように考えられる人なのかな、と。
ビアスのように物事の本質をつくことができて、しかも楽しめたら(ビアスがこのように考えられていたかは不明)、
生きることが少し楽しくなるかもしれませんね。
それでは、今回も読んでいただいて、ありがとうございました!
創造性 ★★★
実用性 ★★★★
世界を広げるヒント、第19回はあの有名なドン・キホーテ(セルバンテス)です。
この名前で真っ先に思い浮かぶのは、現在では街の雑貨屋でしょうか。
そして、物語を知っている人であれば、風車に突撃していく男ではないでしょうか。
しかし、この本は皆さんの予想を裏切ります。なぜなら・・この男は風車だけでなくとにかく色々なものに突撃して行くのです!
ある時は僧侶、あるときは羊の群れ。
あげくの果ては宿屋で働いている娘にまで「姫!」と勘違いして抱きしめるなど、なんともすごい突撃ぶりです。
(もっとも、他に本命の姫がいるドン・キホーテは真面目に引き下がるのですが)
そして、その突撃の際のドン・キホーテの台詞がファンタジックで実によいのです!
空想の姫(実際はいない)を指して
「その髪は黄金、額は至福の楽園、眉は弧をなす虹、両の目は輝く太陽・・」
空想の騎士(実際には羊)を指して
「黄色の鎧兜に身を固めた騎士、王冠をかぶった獅子が乙女の足もとにひれ伏す図柄の盾を手にしている騎士・・」
何も馬鹿にしているわけではありません。
空想の台詞とそこから続くのは突飛な行動なのですが、不思議と、どこか高貴さが感じられる気がしました。
あと一人、忘れてはいけないのが召使いのサンチョ。昔の主従関係どおり、基本、主人に忠実な人間です。
それがドン・キホーテが聖水と称して油差しを飲ませようとするシーンなど色んなところで「ご主人様ーっ」と、いわゆるツッコミ役として本当に楽しい。
冒険(ドキドキ)、騎士(格好良い)、ボケ・ツッコミ(笑い)、そして悲しみ(錯乱)と要素がたくさん入っている。
そして最後に理想と、想像。
これは、楽しいですね。
最後に、私の予想ですが、みんなドン・キホーテのことを笑いながら、心のどこかで「ちょっといいな」と感じているのではないかと思います。
理想に燃えて、未来を想像して、自分が正しいと思うことを実現するため何があっても、勇敢に前に進む。
この世界はもちろん現代社会ではないけれど、皆が目指したい「美しさ」をそこに感じるのではないでしょうか。
同じく現代に生きる人として、私はそう思いました。
それでは、今回も読んでいただいてありがとうございました。
創造性 ★★★★
実用性 ★★★
世界を広げるヒント、第26回は「小説の自由(保坂和志著)」です。
このブログの目的「世界を広げる」は「これまでとは違う世界を実感する」とほぼ同義ですが、そういう意味で、この本はその目的にうってつけです。
内容ですが、現在・過去の小説を引用しながら「小説とは何か」「何を表現しているのか」を考えていくものです。
実は、この本を要約するのは困難です。。
読んでも特定の何かを学べるというよりは、自分の頭で考え、体感して、自分なりの何かを得られる、と言う方が適切な気がします。
それでも無理に学んだことを書き連ねると・・
・小説は動的である
・単なる言葉による表現ではない
・論理や科学で表せない世界がある
・全体は部分の総和ではない
・人の数だけ小説はある
・開かれている方、希望が望ましい
・小説は読んでいる時しか小説ではない
などがあります。
書いてみると何だか薄っぺらいです。
ですが、先ほど申し上げたように、この本で得られるのは自分の考えが生まれそれが体に馴染んで行く、体感の部分。
「世界は広い」という漠とした実感だったりします。
そして、それが何かとても大事なもののように思えるのですよね。
単なる知識ではなくて、自分なりの世界の捉え方というか・・そういうものが少しだけ、見えてくるからでしょうか。
上記箇条書きも、全てが保坂さんが語っていたものとは限らず、自分なりに理解してきたものを書き連ねたまでです。
知識を得たということではなく、そういうことを少しでも考えられるようになったこと、それが素晴らしいのではないかと思いました。
とはいえ最後に分かりやすい効用を一つ。
この本を読むと、色んな文学作品が読みたくなりますよ!
カフカ、トルストイ、カポーティ・・
それでは、本日も読んでいただいてありがとうございました。
創造性 ★★★★
実用性 ★★★★★
世界を広げるヒント、第33回は笑い(ベルクソン著)です。
「笑い」はフランスの哲学者アンリ・ベルクソンが笑いとは何か、どういう時に起こるものなのかを明示しようと考え、記した本です。
哲学者らしく、論理的に証明されており、その結果、提示された事実は面白く、なるほどと思わせるものが多いです。
・人間が機械的に振る舞うとき、おかしい(ロボットの真似をした人間など)
・精神的な活動から肉体に引き戻されるとき(真面目な講演の中での急なくしゃみ)
また、上記からびっくり箱や操り人形などが笑えるという例に及び、納得させられます。
このような世界の見方もできるのだなーと楽しんで読んでいましたが、以下の文章を読んで、少し怖い側面も感じられました。
・笑いは非社会的なものを社会的なものに引き戻す、適応させるもの。
確かに、人を笑うときには「何やってるんだ」とか「お前は普通じゃない」と言っているような側面があると思います。
そこで私が感じたことですが、いわゆる「引きこもり」これは、社会が普通じゃないと人を笑うため、その視線を避けるために、行っていることなのでは?ということです。
もちろん私は専門家ではないので、確証があると言うことはできないです。
しかし、「空気を読む」という言葉が数年前に流行ったことからも分かるように、普通であることを強要し、それに馴染まないような人を「笑う」ような社会に少なからず日本がなってしまっているのではと考えてしまいます。
もちろん、望むべき社会ではないですよね。
しかし、この本には希望も書かれていました。
・欠点が我々を笑わすのではなく、我々を笑わすから欠点が軽微なものに映る。
使い途によっては、「笑い」は潤滑油となり、日常を良い方向に持って行くこともできそうです。
しかし、この本には深く書かれていなかった「心からの楽しい笑い、潤滑油としての笑い」
こちらを求めてみるのも楽しそうですね!
それでは、本日も読んでいただき、ありがとうございました。
明日、心から笑えることがある一日になるといいですね!
創造性 ★★★
実用性 ★★★
世界を広げるヒント、第36回は独立国家のつくりかた(坂口恭平著)です。
感想ですが、とにかく刺激的な内容だと思います。
私と同じ1978年生まれでこんな人生を送っている人がいることに驚きです。
タイトルに疑問を持つ方が多いと思いますが、この方は本当に独立国家を作ってしまいました。
理屈はこうです。
・東日本大震災の時、最も大事なはずの人の命をまず救おうとしない政府に疑問を持った。
(関係者やテレビ局に働きかけたが動かず)
・政府が政府として機能しないのを見て、この国が無政府状態であると考えた。
・罰則を受けないルール内で(芸術という位置付けで)新政府を(彼曰く勝手に)樹立。
・避難所を作り、百人以上を宿泊させる。
*その際、どういう方針で避難計画を行っているかはしっかり人に伝えていた。
「政府」という言葉から、過激な活動に見えますが、実際は誰を無理に巻き込む訳でもなく、また考え方に筋が通っています。
端から見ると、大胆な内容なので、その活動がとてつもないことのように思えてしまいます。
しかし、冷静によくよく行動を見てみると、変わったことではなく、普通に、順番立てて物事を考えているだけとも見えませんか。
状況を見て、信じられる行動が何かしっかり考えて、後は地道に行動する。
これを恐れずに、愚直に繰り返せることが彼のすごさなのだと私は感じました。
さてもう一つ、彼の考え方で最も役に立つと思われる考え方をご紹介します。
それは「レイヤー」という考え方です。
彼の意見では、人間はみなレイヤーを通じて物事を見ている。
レイヤーとはものの見方を決める尺度のようなものだと私は理解しました。
たとえば我々にとって「家」と言えば自分の家のことを指しますが路上生活者の中では街全体を「家」のように考えて水道だったりを使っている方々がいるとのこと。
我々はなかなか公園の水道を、生活の水を供給する場と見ることはできない。
しかし、そのようにフラットに、色々な見方ができることは、その人の世界の広さと言えるのではないでしょうか。
また、最も特筆すべきこととして、「レイヤーは既存の仕組みを許容する」ということが挙げられると思います。
たとえば、先に政府の話を出しましたが、彼は政府を否定はするものの、政府をどうにかしようというような主張は一切していません。
既存の仕組みを無理に変えることは考えずに、別の枠組みで物事を考え、実現しようという、合理的かつシンプルな思考です。
この、既存の仕組みを壊さずに、別の枠組みで考えるという考え方は、どこでも応用が効くのではと思いました。
本日はここまでです。
読んでいただいて、ありがとうございました。
明日も、一つ一つ、何をするべきか考えて、後は実行するのみですね!
創造性 ★★★★
実用性 ★★★★★
世界を広げるヒント第38回は今日の芸術(岡本太郎著)です。
岡本太郎と言えば「芸術は爆発だ!」という台詞や作品「太陽の塔」「明日の神話」などが有名ですが、本日取り上げるのは書籍です。
この方はその発言と芸術家という職業から勝手な先入観でいわゆる「感覚」の方だと思っていましたら、とんでもない、とても論理的に文章を書かれる方でした。
この本では、芸術とは何か、芸術を行う上で何が大切か、芸術を行う上で障害となるものは何かを説いていきます。
私が最も重要だと思ったのは以下です。
・「芸・上手・きれい」と「芸術・いやったらしい・美しい」は違う
・従って、上手に書く必要はどこにもない。(周りがそれを強制しがちなのが問題)
・「モダニズム(近代主義)」と「アヴァンギャルド(前衛)」は違う
・絵は当時の時代背景のもとで作られる。なので。当時の名作が今も感動を呼ぶとは限らない。
(むしろ現代のアートの方が心を揺さぶる可能性があるはず)
私自身の話で恐縮ですが、美術の授業でいつも絵が下手で、「自分は美術が苦手」と劣等感があったものですから、岡本太郎
さんの、「下手であればほどいい」にはとても励まされました。
また、美術館に行ってもなかなか絵に感動せずに、感受性が低いのかな・・と思っていたところ、「昔の絵だから」と言われたことで、ひょっとして自分は普通なのかも、という気になれました。
そんな誰もが陥りがちな罠を、平然と蹴飛ばしてくれるようで、読んでいてとても晴れやかな気持ちになりますね。
岡本太郎さんの本や絵は何度も見ていますが、やはり何度見ても素晴らしいのはその「明るさ」「生命力」「正しさ」「前向きさ」「エネルギー」です。
つまらないことは一切言わずに、ただパッと明るく創造に命を見やしている。そしてそれを「あなたにもできる」と言ってくれる、それがいつも勇気を与えてくれます。
それでは、今回も読んでいただいて、ありがとうございました。
明日も生命を燃やしていきましょう!!
創造性 ★★★★
実用性 ★★★★★
世界を広げるヒント、第41回はスピノザの世界(上野修著)です。
スピノザは17世紀の哲学者です。
神が唯一絶対の実態であるとし、あまねく物に神が存在しているとしています。(汎神論)
この「スピノザの世界」はそのようなスピノザの考えをできる限り分かりやすく説明しています。
(と言っても元が元だけに難解ですが)
スピノザの考えで特長的な点は2つ、1つは内容とは関係がありませんが、全て定義と公理から定例を見出す、つまり公式を証明する形を取っていること。
この方法は、論理的、つまり誰でも理解をすることができるように工夫されているということです。
(たとえば彼は最初に「神」を定義し、それが存在するこの世界はどうなっているか・・という風に問題を解いていきます)
もう1点、本の中身についてですが、とても前向きで明るい理論ということ。
哲学というと難解という印象を持たれる方が多いと思いますが、スピノザの説はひたすら明るい感じがします。
冷静に、なぜ全ての物が神と一致するのかを証明しているのですが、冷たい感じは微塵もしません。
(ちなみにこの神は万能の神ではなく、全てに「在る」意思のない存在というイメージ)
証明の先は、だから自分も社会も神も全てを許すことができる、全てを愛することができるという結論なのです。
誰にも理解できるように理論付けられた証明とそこから導きだされる明確な結論。
そしてそれは、「全て問題はない」というメッセージ。
それは、全ての人に向けた、人間讃歌と言うのは言い過ぎでしょうか。
それでは、今回も読んでいただいて、ありがとうございました!
創造性 ★★★★★
実用性 ★★★★
世界を広げるヒント、第42回は空想主義的芸術家宣言(森村泰昌)著です。
著者はセルフ・ポートレイトという手法を用いて美術作品を作っている美術家です。
自分を被写体に、モナ・リザやマリリン・モンローにそっくりの服装をし、写真を撮影するということをされています。ユニークですよね。
さて、彼にはいくつか著書があるのですが、その一つがこの空想主義的芸術論です。
この本で語っているのは空想のススメ!
著者が世の中の現象に対して、「おそらくこういうこと」「こう考えたら面白い!」と考えることを語っています。
たとえば
・芸術は食べられる(ピカソの数々の絵をフルコースになぞらえて堪能する(味わう))
・物真似はよくないことではない(借りることで人間関係を結んだり。また、そもそも何が本物か偽物かはあいまい)
・敗者の文化は面白い(大阪のある沿線の「高級っぽい」大衆文化の面白さ)
何事も「こう考えると面白い」という考え方が非常に参考になります。
最後に。あとがきにありますが、芸術は絵に書いた餅でしかないが、それこそが素晴らしいこと。
絵に描いた餅を想像できる力こそが芸術的空想力であり、実は現実よりも遥かに大きい人間を構成する要素なのだということです。
確かに、空想の世界、想像力は無限大で、楽しいものですよね。
それでは、今日も読んでいただいて、ありがとうございました。
創造性 ★★★★
実用性 ★★★★
世界を広げるヒント、第48回は里山資本主義(藻谷浩介著)です。
お金にのみ価値を置いた資本主義に異を唱え、便利な都会ではなく、地方であってもより豊かな生活ができるのでは?と提言する本です。
基本的な考え方は、お金の消費をこれまでよりも少なくし、その分、必要なものを買わずに暮らそうというもの。
よく周りのものを見て工夫し、物々交換などの方法で分けあうことで、人との絆をより深め、本当の意味で豊かになろうということを訴えています。
たとえば
・自然のため毎回違う味になる牛乳を逆手に取って、販売する工夫
・サラダにする野菜は冷たい湧き水で。お金がかからず、豊かな気分に
工夫次第でお金は得られるし、それほど大きなお金は使わなくても生活は楽しめるということです。
本当に必要なのはお金ではない豊かさ、一に人との絆、ニに自然とのつながりという考えは多くの人に受け入れられそうですね。
また、自然災害で既存のシステムが麻痺した時に備えてのバックアップの意味もあるという言葉にも説得力があります。
お金を稼ぐよりも大事なことがあるということに、ほとんどの人は気づいているのではないでしょうか。
少し勇気を持って何かを変えることで、人生が好転することもあるかもしれませんね。
それでは、今回も読んでいただいて、ありがとうございました。
何か自分にとって本当に大切か?問いながら明日もがんばりたいと思います!
創造性 ★★★
実用性 ★★★★
世界を広げるヒント第51回は創るセンス 工作の思考(森博嗣)です。
森さんは理系の大学助教授でありながら、小説家として30代後半にデビューしたという珍しい経歴をお持ちです。
「すべてがFになる」という作品がドラマ化もされましたね。
その森さんが「何かを創ること」の重要性、楽しさについて語っているのがこの本です。
森さんいわく、
「まったく新しいものを模索する過程、実験や発明の発想、といった「最前線」には、どうしてもこのセンスが不可欠」
とのことです。
他にもこの本には生きる上で重要な言葉が散りばめられています。
たとえば、
・「コツ」は・・ノウハウではない。すべてを高精度で進めるのではなく、どこで集中力が必要なのか、どこに注目して進めればよいのか、といったペース配分の極意のようなものだ。
・人間というのは、ある知見を、まったく別のジャンルへ適用しようと考える・・これを支える思考の概念は、「抽象」・・目に見えるものの方が実はどうでもよい部分、つまり「装飾」であり、ものごとの価値は、その内部に隠れて見えない「本質」にある。
この本は非常に学ぶことの多い本ですが、著者は、結論として、「とにかく何か創ってみれば?」ということを仰っています。
それが、「楽しむ」コツであると。
確かに私もこのようなブログやアプリを作っているときが、楽しいと感じられますしこれはやってみないと分からなかったな、と言えると思います。
最近は簡単な楽しみも多く、ついつい創るのではなく、何かをただ「見たり」「参加したり」しがちですが、「創る」ことを心がけると楽しみが広がりそうですね。
それでは、今日も読んでいただいて、ありがとうございました。
今年もあと少し、がんばりましょう!