世界がもし100人の村だったら(ドネラ・メドウズ)

世界を広げるヒント、第9回は「世界がもし100人の村だったら」です。

 

 

もし全世界の人が100人だったと仮定して100人がそれぞれどんな境遇にあるのかを様々な切り口で書いて行きます。

 

 

「28人が子どもで72人が大人ですそのうち7人がお年寄りです」

 

「100人のうち、50人は農村に、50人は都市に住んでいます」

 

 

といった具合に。

 

 

日本という国で普通に暮らしていると、みな日本語を話しますし、また同じ会社なら似たような境遇の人が多いので、これが普通、と感じてしまいがちです。

 

 

実はそうじゃないよ、と教えてくれるのがこの本です。

 

 

「村人のうち1人が大学の教育を受け18人がインターネットを使っていますけれど、20人は文字が読めません」

 

 

など、普段思っても見ないようなことが普通に書いてあります。

 

 

読むだけで知識が貯えられ、視野が広がって行くのですが、この本から学べるのはそれだけではないかなーと。

 

 

なかなか自分だけを見ていると気づかないことも、他の人と比較することで見えてくることがある。

 

 

特に、数字を使うと、より分かりやすく見えてくる。

 

 

そういうことに気づかせてくれる、実用的な本だなーというのが一番の感想です。

 

 

会社でも、何かにつけ、数字にしろと言いますが、やはり、数字にすることで客観的に見えてくるものがあるということですよね。

 

 

さて、このブログの載っているホームページの目的に関連する問いを一つ考えました。

 

「世界が100人だとしたら人生を楽しめているのは何人だろう?」

 

 

分かりませんが、この本にあるとおり「食べ物をときどきしか食べられない人が37人いる」ことを考えると、6割のうちのまた何割か、ということになるのでしょう。

 

 

少しでもその人数が多くなるように、自分のやるべきことをやっていきたいです。

 

 

それでは、本日も読んでいただき、ありがとうございました!

 

創造性 ★★★

実用性 ★★★★★

無意識の構造(河合隼雄)

世界を広げるヒント第10回は「無意識の構造」河合隼雄著です。

 

 

河合さんは心理学者です。

 

この本では人間の意識に現れない無意識の領域には何があるのか、また、それがどのような意味を持つのかを解説しています。

 

 

なお心理学といっても、非常に内容が分かりやすいのが特長です。

 

 

臨床心理学の立場でカウンセリングをしていることも関係があるのでしょうか。

 

「こころの処方箋」のように現代人の悩みに答えてくれるような著作もあり、学問より、人により近いところにいる方だな、といつも感じます。

 

 

さて内容ですが、

「人間の心の中には、意識の他に無意識という気付けない領域がある」

 

これが最も重要な内容であり、そしてそれだけでも、本当に価値がある本だと私は感じました。

 

 

決して自慢できる話ではないのですが、自分は、これがやりたいとか、もっと自分を成長させたい、とか、自己実現願望の強い人間だと思っています。

 

 

だけど、無意識の領域があるってことは、

「自分が持っている自己実現願望なんて、自分全体から見れば表層の一部にすぎない。目に見えない部分を含めた自己は、より深く、大きいもの」

 

ということになります。

 

 

意識している範囲の「自己実現」なんて、全然たいしたことないってことです。(実際、他の彼の著作で書いてありました)

 

 

うーん、自分の小ささが身にしみます。。

 

 

さて、これだけでも色々と書けそうですが、他の部分にもスコープすると。

 

 

「自分と影」「死と生」「男性と女性」についての記載があります。

 

 

「意識と無意識」のように、対比が非常に多い。

 

この本で貫かれているのは、表面に現れているのは半面、もう半面は隠れているだけで、自分の中に存在する、ということ。

 

 

人生って見方によっては全てどこかでバランスが取れている。逆に、どこかで無理をすると、その無理もどこかに表れる。

 

そういうことのようです。

 

 

でも、厭世的な感じでは全然なくて、

「いろんな自分を認め、バランスよく成長して行きましょう」

 

そんな感じに私には感じられました。

 

 

最後の章では、そんな自分を統合的に表現する「マンダラ」図が描かれていました。

 

 

光も影も、男性的な自分も女性的な自分も全てが自分。

 

 

そんなメッセージを感じられて、心が温かくなります。

 

 

これからはもう少し、自分を大きい目で捉えてみるとよさそうな気がしました。

 

 

と言いつつ、元が小さいと、2倍しても結構小さいままだったりして。。

 

 

今回も読んでいただいて、ありがとうございました。

 

創造性 ★★★

実用性 ★★★★★

自分の小さな「箱」から脱出する方法(アービンジャー・インスティテュート))

世界を広げるブログ、第14回は「自分の小さな「箱」から脱出する方法」です。

 

 

箱って何だろう?と思われるかと思いますが、箱は自分のことをすっぽり包む物の比喩です。

 

 

他人と自分を遮断し、人を歪んだ目でしか見られない状態を「箱の中に入っている」と著者は言います。

 

 

歪んだ目でしか見られない・・そんなこと!と感じられるかと思いますが、怖いことに、それがよく起こっているのだそうです。

 

 

仕事とかをしていると、あいつがうまく動いてくれないからとか、ダメな人だからとか・・自然に思っていることがあると思います。

 

たとえば、そういうのも箱に入っている状態ということのようです。

 

 

先ほどの例で、あいつがうまく動いてくれなかったから・・と思う裏に、もう少し自分がフォローできていれば、という気持ちがあったとき。

 

その気持ちを否定して、相手のせいにする、その自分への裏切りが「箱に入る」始まり。

 

 

自分の感情を裏切ると、その気持ちを正当化するために、自分を棚上げし、相手を悪人に仕立て上げる、そうして人間関係が悪くなっていく・・

 

 

怖いですが、そんなカラクリを非常に分かりやすく、丁寧に解説しています。

 

 

私が注目した点は2つあります。

 

1つは、この本の登場人物である外資系企業の役員のように、経済的にいくら優れていてステータスがある人でも、箱に囚われている限り、不自由であり、心から幸せとは言えないであろうこと。

 

 

もう1つは、どんな人でも陥ること、いや、特に優秀な人であればあるほど、思い通りにならない部下のせいにしたり、あるいは思い通りにならないこと自体を否定しがちで、箱に入りやすいのでは?ということです。

 

 

いずれにせよ、自分が気づかないうちに、周りに多大な迷惑をかけていく・・怖いですよね。

 

 

せっかく、このような注意喚起をしてくれる本があるのですから勉強し、少しでもよい自分でありたいです。

 

 

その方が、きっと楽しいですし。

 

 

今回も読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

創造性 ★★

実用性 ★★★★★

パパラギ(エーリッヒ・ショイルマン)

 

世界を広げるブログ、第21回はパパラギ(エーリッヒ・ショイルマン)です。

 

 

パパラギとは西洋人のこと。

 

 

文明未発達の地に育った原住民が西洋を訪ね戻ってから書き留めた手記が、第一次大戦直後の1920年に刊行されました。それがこの本です。

 

 

内容ですが、西洋人が物質的に豊かでも、本質的には豊かではないことを看破し、率直に、様々な側面から問題提起しています。

 

 

分類としては、

「服」「住居」「お金」「時間」「仕事」「物」「心」そして「思想」まで。

 

 

要約して言うと、物の豊かさではなくて心の豊かさが大事、と言うことなのでしょうが、本当に物の無い原住民から見た視点ですから、リアリティがあります。

 

 

「住居」

なんで一日中、箱(家)の中にいて窒息してしまわないのか、強いあこがれのあまり鳥になろうと思わないのか・・

 

 

「お金」

西洋の社会では無いと役立たずと言われる。

そしてそのお金は他人を働かせることに使われ、自分は代わりに何もしなくなる。

この世界での価値は気高さや勇気ではなく心の輝きでもなくお金を集められるか・・

 

「物」

いつでも多くの物を作ろうとしている。

そして集め続け、見張る。無ければ生きて行けないと思っている。

そして、少ししか持たないと貧しいと言って悲しがる。

見渡してみなさい、空、海、鳥のいる森、大いなる物に満ちあふれているのに・・

 

 

結構、心にグサッとくる内容もあるのではないかと思います。

 

 

物事の価値を世間が決めて、自分も追従して、それが足りない人をさげすんだりしたら・・自分が怖くなりませんか。

 

 

最近は社会的貢献など、心を求める動きが強くなっているのは明らかですが、それでもまだ決められた価値観の中で考えていることが多いと思います。

 

 

最後に思想の話。

 

 

「思想」

彼らは自分たちの思想に酔っぱらっているようなものだ。

日が輝けば、「日はいま、なんと美しく輝いていることか」と言うが、大間違いだ。

 

 

かしこいサモア人なら暖かい畑の中で手を伸ばし、何も考えない。

頭だけでなく体全部で光を楽しむ!皮膚や手足だって考えているのだ!

 

 

頭で考えてばかりいないで、たまにはのんびりと「当たり前」を疑うのも楽しいかもしれませんね。

 

 

明日は会社・・当たり前ではないのかも・・でも、自発的に行くようにします!

 

 

それでは、今日も読んでいただいてありがとうございました。

 

創造性 ★★★

実用性 ★★★★★

虫眼とアニ眼(宮崎駿)

 

世界を広げるヒント、第28回は「虫眼とアニ眼(宮崎駿・養老孟司著)」です

 

 

タイトル文には養老孟司さんを載せていませんが、彼の本はまたこの場で紹介したいため、つまり取っておいています 笑 

(今のところ、一人一作品でやっているため)

 

 

さて内容について、目次上は「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」をベースにした対談ですが、実態は、社会や自然について、二人の意見が交換されています。

 

 

一貫して語られているのは、昔と環境が変わりそれによって人間がどう変わっていったのか。

 

 

色々なことを洞察しながら、長い人生を送られてきた二人が語る言葉には他では見られない視点があります。

 

 

たとえば・・

 

・(昔と比べて)バーチャルに慣れ過ぎ、子どもの生きる力が弱まっていること

 

・現実に対して目を向けず、内向きの人間関係に重きを置きすぎていること

 

・人がひしめき過ぎて、みな人間が嫌いになってきていること

(たとえば満員電車、不快でいちいち人を一個の人と考えていられない)

 

 

そして、それらに対する対抗策ですが、木登りができる場所だったり、でこぼこの地面だったり、火おこしができる場所を作ろうということ。

 

 

手触りとか肌触りとか自然とかそういうものを、明確な理屈抜きに周りの環境に配備しようという考えが新鮮でした。

 

 

それらが大事なものだということが、理屈ではなく、実感として分かっているのだと思います。

 

 

「頭」だけではなく「体」

 

「人工物」だけではなく「自然」

 

 

感覚ですが、私たちも、そうだよなーと思えるのではないでしょうか。

 

 

何より、その方が楽しそうですよね 笑

 

 

それでは、本日も読んでいただいてありがとうございました。

 

 

明日も仕事ですが、頭でっかちにならないように気をつけないと!

 

 

創造性 ★★

実用性 ★★★★

森の生活(H.D.ソロー)

 

世界を広げるヒント、第37回は森の生活(H.D.ソロー著)です。

 

 

1845年に書かれた本であり、著者が森で暮らした内容を中心に、生活に関する思想が記載されています。

 

 

体験談ではありながら、随所に書かれているのは思想です。

 

 

たとえば本当に真剣に考えた時に、衣・食・住はそれぞれ、どこまでが必要かということが書かれています。

 

 

この部分は以前に紹介した「パパラギ」と少し似ているところがありますね。

 

 

「森の生活」は、実際の著者の体験談ということですから、より主張の中身が生き生きとしているのが特徴です。

 

 

たとえば、

 

・「自然」そのものと同じように、一日を思慮深く過ごそう。朝は朝食を摂っても摂らなくてもいい。客が来るのも成り行きに任せる・・

 

・太陽、風、雨、夏、冬ーこういった「自然」の筆舌につくしがたいけがれのなさと恵み深さが、永遠に大いなる健康と喜びを与えてくれる!

 

 

いかがでしょう。森での生活がいかに「逆に」刺激的なものか、体験していない我々にも少し見えてくる気がします。

 

 

私が最も印象に残ったのは、次の箇所です。

 

 

「もしすべての人間が、当時の私とおなじように簡素な生活を送るようになれば、盗みや強盗はなくなると、私は確信している。こうした事件は、必要以上に物をもっている人間がいる一方、必要な物さえもっていない人間がいる社会でのみ起こるのである。」

 

 

必要以上に自分が物を持っていないか、時には見直すことも大事かもしれませんね。

 

 

それでは、今回も読んでいただいて、ありがとうございました。

 

創造性 ★★★

実用性 ★★★★★

お金とモノから解放されるイギリスの知恵(井形慶子)

 

世界を広げるヒント第49回は「お金とモノから解放されるイギリスの知恵(井形慶子著)」です。

 

 

渡英経験60回以上の著者が日本と異なるイギリスの文化・価値観を紹介しています。

 

 

たとえば

・デパートの隣にあるマーケット街。そこでは安く半ば趣味に近い形で物が売られ、おしゃべりを売り手と買い手が楽しむ。

 

・家は古い方が良い。昔ながらの置物を受け継ぎ、積み重ねて行く。古い置時計が逆に他人への自慢になる。

 

・20〜30代まではあまり美容にお金をかけず、50代など高齢になってこそおしゃれを楽しむ。

 (なお派手ではなくナチュラルが基本)

 

 

いかがでしょう。あまり日本にはない考え方だと思いませんか。

 

 

海外のことについて書かれた文章を読むと、いかに自分が環境に染まっていて、思い込みに囚われているかが分かります。

 

たまにこういう本を読むと頭が色んな意味でクリアになってよいですね。

 

 

最後に一つ。

 

・イギリス人はきわめて重い深刻な問題でも斜めから見てジョークのネタにする

 

 

このような姿勢は、贅沢はせず「あるもので楽しむ」イギリス人の考え方の根底から出てくるのかもしれません。

 

 

行き過ぎは良くないかもですが、我々ももう少し意識して楽しんで生きるのもよい気がしました。

 

 

それでは、今日も読んでいただいて、ありがとうございました!

 

 

創造性 ★★★

実用性 ★★★★★

海にはワニがいる(ファビオ・ジェーダ)

 

世界を広げるヒント、第50回は海にはワニがいる(ファビオ・ジェーダ著)です。

 

 

アフガニスタンの、武装勢力に標的にされた村の10歳の少年が8年もの間、母に置き去りにされ(父は行方不明)安息の地を求めて漂流するという日本では想像もできないような話です。

 

 

道中で同じ境遇の少年が倒れて行くなど、厳しいシーンが多いのですが、自分が一番印象に残っているのは、(確かですが)トラックのタイヤと車体の入って移動するシーン。

 

 

強烈な臭いが充満する中、仲間と喉の渇きで苦しみながら、時にはいがみあい、それでも長時間、同じ体勢で車に乗り続けます。

 

 

「苦しい」「辛い」というような表現では決して表すことができない世界かと思います。

 

 

なお表題の「海にはワニがいる」は決死の覚悟で海を渡る少年達が知識が無い中、「海にはワニがいるのでは、大丈夫か」

と話し合いながら、それでも海に出て行く、そんな会話から取られています。

 

 

この本は読んでいて決して楽しいものではないですし、「知らない方が幸せ」という言葉もよく言われますが、それでも私は

少なくとも、このような世界があることは認識しておいた方がよいと思いました。

 

 

それでは、本日も読んでいただいて、ありがとうございました、

 

 

創造性 ★★★

実用性 ★★★