文豪泉鏡花 × 球体関節人形展に行ってきたこともあり、今回は泉鏡花の高野聖(こうやひじり)を紹介したいと思います。
高校の授業で習った時の感動も深く、いつか話したいなと思っていました。
さてその内容について。
泉鏡花の作品は異界が出現してくる、あの世が見えてくるようなところがあり、高野聖もその特徴を持っています。
旅で山奥に入った僧が出会う美女。精神に障害を持った男を夫に持ち、山の動物(巨大な蛭を含む)で痛んだ身体を風呂場で洗って癒してくれます。
ところが、その美女には誘惑にかられた男を動物に変える力があるのです。さて男は・・というあらすじです。
ストーリーも面白いのですが、感動があるのはその世界観。山、美女、動物、僧、変化と、異界の地に踏み込んだような感覚がこの小説を読むと感じられます。
そして不思議なのは読んでいる間、この超現実がそんなに離れたものではなく、この世の少し向こうにある。つまり決して遠い世界のことではないと感じられることです。
現代社会はそのような異界は目に入らないように作られています。目に見えるものだけ信じる(例えば数字)ことを信じこまされているとも言えるでしょう。ところが、その少し向こうには異界がある。そう考えると、世界が広がっていくような気がしませんか。
本日も読んでいただいて、ありがとうございました。