修身教授録(森信三)

 

世界を広げるヒント、第16回は「修身教授録」森信三 著です。

 

このブログ、これまでは自分の世界を外へ外へ広げてくれるようなモノやコトを紹介してきましたが、今回は趣きを変えて、自分の内面を磨き、成長することで見える世界が変わっていく、そんな本を選びました。

 

 

さて修身と書くと何だかとっつきにくいですが昔の日本は道徳のことをこう言ったそうです。「修身教授録」は道徳の授業の講義録です。

 

 

私も30代半ばとなり、これから成長していくには、もっと人間力を高めていくことが必要、「人として大事なことの基本」を教えてくれる本が無いかと探していたとき本書に出会いました。

 

 

読んだ感想ですが、まず特長としては語りがとにかく丁寧、かつ押し付けがましくないのでとても読みやすい本でした。

 

 

たとえば、「なぜ読書が必要か」の項ではその説明に7ページもかけています。

 

「読書は心の食物である。体の食物を欠かさないように、心の食物も本来毎日摂り続けるべきであるが、なかなかうまくいかない・・

  

のように、誰にでも分かる平易な説明から、

 

 

「体験が重要という考えもあるが、ただ体験は読書の光によってこそ意味が明らかになるもので、(読書抜きで)出来事に意味を見出すことを誤ると逆に自他を傷つける・・

 

のように、誰もが反証したくなることをあえて口に出して、それを丁寧に否定していきます。

 

 

そして最後には

「志があれば、必然に偉大な先人達の足跡を辿ることを考える。また、過去偉業を為した人はみな読書家である・・

 

のように、それを行った方がよい理屈を色々な側面から話し、その有用性を説きます。

 

 

ただ分かりやすいだけではなく、時代を問わず、誰にも重要な「生き方」や「人との交わり方」「仕事とは」について語っているので、とてもためになります。

 

 

これが79講義もあるのだからいいですね。

 

 

また、この本を読むと森信三という方の見識の深さ、志の高さが伝わってくるのですが何より誠実な人柄には特に惹かれました。

 

 

現代にも、既に素晴らしい功績を挙げながら、それでも無心に頑張っている人がいますが、そのような人を見ると、励みになりますよね。

 

それと同じような感じ、無心で教育に力を注いでいる著者を見ると、気持ちがとても前向きになります。

 

 

肝心の自分が成長したかは・・正直まだまだと身内に言われてしまっていますが(苦笑)この本を手元にこれからも精進したいですね。

 

それでは、今回も読んでいただいて、ありがとうございました。

 

創造性 ★★

実用性 ★★★★

 

 

ご冗談でしょう、ファインマンさん(R.P.ファインマン)

 

世界を広げるヒント、第24回は「ご冗談でしょう、ファインマンさん(R.P.ファインマン著)」です。

 

 

この本はノーベル物理学賞受賞の科学者、ファインマンの経験した出来事を綴った伝記、というよりは日記のようなものです。

 

 

物理学の権威というと、堅苦しくて、ずっと研究に没頭して、という人物像を想像されるかもしれません。

 

 

しかし、そんなことは幻想であると、すぐに気づくでしょう。

 

 

なぜなら、ファインマンはいたずら好きでユーモアの固まりのような人だからです!

 

 

・金庫破りの法則を見出して、いつの間にか開けて持ち主を驚かせたり

 

・誰も解けないようなパズルや手品で皆をびっくりさせたり

 

・寮のドアを外してしらばっくれたり

 

・哲学の講義で素朴な疑問を呈して、皆を困らせたり

 

 

こう事実だけ書くと、悪いことのようにも見えてしまいますが、あくまで悪気のないいたずら。ユーモアの範疇なんですよね。

 

 

そんな過去が面白おかしく書かれているこの本ですが、特に考えさせられたのは次の二つです。

 

 

一つは、ふざけることの大事さ。

 

 

最近、人の目やルールが厳しくて、ちょっとふざけたりしても、大げさに反応する人が出て来てしまったり、何だか殺伐とした

世の中になってきている気がします。

 

 

寝てる人の顔にラクガキじゃないですけど、たまには他愛もないいたずらや、ふざけることも人生に少し楽しみを与えるのでは、

と改めて思いました。

 

 

もう一つは、興味を持ったら実行することの大事さ。

 

 

これまで書いてきたことからすると意外に見えると思いますが、ファインマンという方は、一方で非常に真面目な人です。

 

 

何か疑問を持ったら、興味を持ったら、何でも真面目に、着実に実行します。

 

 

蟻が餌を見つけた後、どうやって仲間に知らせるのか疑問に思ったら、実際に装置を作って実験してみる。

 

 

先述の金庫の話でも、金庫破りをしたいのではなくて、自分のところのキャビネットが簡単に開いてしまったので、問題意識を

持ったのが始まりです。

 

 

仕掛けを研究しているうちに、趣味が高じて金庫が破れるようになった、ということです。

 

 

興味を持ったら、それについて真面目に考え、だいたい、実行してみるのですよね。

 (それで、その中で少し遊びが、おふざけが出てくる感じです)

 

 

そのように興味を持ったら実行するのは、もちろん学問の世界でも同様で、物理だけではなく化学や哲学などにも興味を持った都度、他の研究室に行って学んでいました。

 

 

そのような性格の方が、ノーベル賞という偉業を成し遂げたというのは、なにか感じるところがありました。

 

 

最後に、彼がノーベル賞をもらうもととなったダイアグラムという発明が、研究に没頭していたときではなく、むしろ研究に疲れ、「前みたいに、ただ物理で遊ぶようにしよう」と思い至った矢先の、遊びの中でだったことを付け加えておきます。

 

 

やはり遊び、ふざけるのは大事ということですね〜

 

 

それでは今回も、読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

明日は会社で堅い顔をしているのはやめ、遊び心をもって仕事を楽しみましょう!

(自分に言ってます)

 

創造性 ★★★★

実用性 ★★★★

ビジョナリー・ピープル(ジェリー・ポラス他)

 

世界を広げるヒント、第31回はビジョナリー・ピープル(ジェリー・ポラス他2名著)です。

 

 

この本はいわゆるビジネス本に分類されますが、偉大なビジネスパーソン達がどのような境遇から成功していったかについて、いくつもの例が掲載されている本です。

 

 

偉人達から学べる視点が、世界を広げるヒントにつながるものと考え、取り上げました。

 

 

早速、この本で紹介されている方とその境遇ですが、たとえば以下の通りです。

 

 

・リチャード・ブランソン

→ヴァージン・グループ創業者

→高校の時ラグビーの事故で読書生涯に

→逆にアイデアを徹底的に単純化することで常識外の発想を生み出した

 

・ジョー・ニコルズ

→アメリカ3州にFC展開の高収益店

→自動車事故で両手両足が麻痺

→カトリーナハリケーン時に従業員全員を連れて非難した際、地域住民から賞賛を浴び、ビジネスが軌道に

 

ジャック・ラ・ラン

→フィットネス界の革命者

→15歳のときに自殺未遂、うつ病

→当時の伝統的な治療法では危険とされた新しい食餌治療を生み出す

 

 

困難な状況でも、成功を収めている方がいることが分かると思います。

 

 

本書の中でも最も私が衝撃を受けたのはノーマ・ホタリングです。

 

 

彼女は貧民窟出身、売春婦、麻薬中毒者であり30年間貧民窟で暮らしていました。

 

 

しかし、あるとき決心し、同じ境遇の友だちが死んでいくのを救おうと、薬物中毒と売春から女性を救い出すセージプロジェクトを創設したのです。

 

 

絶望的な状況からそのように夢を実現するなど、にわかに信じられないですよね。

 

 

本書では、このようにビジョンを持つ人にどのような人物が多いのかを、長年の調査結果を元に説明していきます。

 

 

様々な内容が書かれていますが、1つは、やりたいことを強烈に持っているということだと私は理解しました。

 

 

またもう1つは、自分の人生は自分のものである。

目的のためにできることをただ愚直に実行するという、独り立ちした人間としての姿勢だと考えました。

 

 

先に、色々な問題を抱えながら成功した人達を例に出しました。

 

 

しかし、環境を理由にしない彼らにとっては単純にそれはただの前提条件。何もしない理由にはならないようです。

 

 

むしろ、ハンディが彼らを逆に奮い立たせているとさえ感じました。

 

 

このように考えると、自分にも、できない理由は見当たらない。

 

 

勇気とともに、可能性が広がって行きますね。

 

 

それでは、本日も読んでいただいて、ありがとうございました。

 

 

明日も、言い訳なしで、やるのみですね!

 

創造性 ★★★

実用性 ★★★★★

大人のための偉人伝(木原武一)

 

世界を広げるヒント第40回は大人のための偉人伝(木原武一著)です。

 

 

著者の木原さんは、偉人伝の面白さを子ども向けだけにするのは勿体ないという考えを持ち、本書を執筆したと語っています。

 

 

この本で登場する偉人は「ヘレンケラー」「リンカーン」「ガンジー」「ナイチンゲール」「エジソン」などそうそうたる顔触れです。

 

 

本稿では「シュワイツァー」に焦点を当てて解説していきたいと思います。

 

 

シュワイツァーは音楽、哲学、神学、それに医学をも学んだという著者に言わせれば「大きな人間」です。

 

 

しかも、医学を学び始めたのは30歳になってから。既に音楽で名声を得ていた後にです。

(世界に名の知れたオルガン奏者でした)

 

 

その時になって、芸術よりも人間への奉仕に身を捧げようと、医師の勉強を始めアフリカに渡ったのでした。

 

 

そして、その中で「生への畏敬」という生涯の指針を見つけ、医師として活動。

最終的にはノーベル平和賞を受賞しています。

 

 

私が感動するのはその業績よりも、人間が持つ器の大きさについてです。

 

 

今の世の中、「専門家たれ」であったり「T型(ジェネラリストで一つだけ専門を持つ)を目指せ」であったりをよく言われる気がします。

 

 

その理屈は、物事が細分化され、専門的になっているのでそれほど多くのことは学べない、ということだと思うのですが、本当にそうでしょうか?

 

 

実は限界を決めているだけで、本当にやろうと思えば何ものにでもなれる、そんな可能性を人間は持っているのではないか。

 

 

シュワイツァーの偉人伝を読んでいるとそのように感じられました。

 

 

それでは、今日も読んでいただいてありがとうございました。

 

 

明日も、仕事の限界を決めずに、がんばりましょう!

 

 

創造性 ★★★

実用性 ★★★★★

論語(孔子:斉藤孝訳)

 

世界を広げるヒント、第43回は論語(孔子:斉藤孝訳)です。

 

 

論語は孔子を中心とする孔子一門の言行録です。

 

 

現代はみな忙しく、色んなことを急ぎ、また効率化することが多いと思います。

 

 

そのような時こそ基本に戻り、人への思いやりを持ったり、人間性を鍛えたりすることが有用かもしれません。

 

 

倫理を説く古典の一つとして、論語から得られるものは多いと考えます。

 

 

・君子は幅広く親交を持ち、一部の人と馴れ合わない。

 

・老人には安心されるよう、遊人には信頼されるよう、若い人には慕われるようでありたい。

 

・自分の私意で勝手にやる「意」がなく、何でもあらかじめ決めた通りにやろうとする「必」がなく、一つのことに固執す「固」がなく利己的になって我を張る「我」がない。

 

 

いかがでしょう。中には響くものがありませんか。 

 

 

なお、自分が最もこの本で重要と感じたのは以下です。

 

 

・過不足なく極端に走らない中庸の徳は最上のもの

 

 

決して妥協するわけではなく、高度なレベルでバランスを取る「中庸」という考えは一見当たり前のようにも思えますが、以外に普段触れるものではなく、少なくとも私には重要な気付きとなりました。

 

 

なお、今回ご紹介した本のように、古くから残っているものは、それに価値があるからなのでしょう。(その可能性が高いでしょう)

 

 

そして、それが倫理の領域であれば、昔から変わらない、人間にとって大事なことが書かれているのではないか、と考えられます。

 

 

皆さんも、論語から自分にとって大事な言葉、考え方が見つかるかも知れませんね。

 

 

それでは、今回も読んでいただいて、ありがとうございました!

 

 

創造性 ★★

実用性 ★★★★